ドーナツの「ニコット＆マム」を長年続けてきた私がグルテンフリーを意識するようになったきっかけは「米粉」で作ったクッキーを食べたことが始まりです。

当時なんとなく体調がすぐれず、少し食べるとすぐにお腹がもたれるような感じが続いていた時に「米粉クッキー」をいただく機会がありました。その当時、米粉はモチっとした食感で味も単調なものだと思っていたので、特段美味しいものとは思わずに口に入れると、小麦粉にはない口溶け感と素材の素朴な味の余韻、なによりお腹に残った感じのしない軽さに驚き、グルテンフリーが注目されていることを理解しました。

「ニコット＆マム」のドーナツは開業当初から卵を使用していなかったので、卵アレルギーをお持ちのお子様に喜ばれていましたが、卵以外のアレルギー品目に対応した商品の相談や、私と同世代では病気を経験してからの糖質コントロールの話題、また最近ではインバウンドの外国人のお客様からヴィーガンに対応するプラントベースのリクエストなど、食べ物に対しての個々の意識と重要性が今まで以上に多様になってきていることを感じていました。

このような環境に身を置き、私自身の食べ物に対する意識が変化していく中で、これまでの経験を活かし、より多くのお客様に安心して楽しんでいただけるには、素材の「足し算」ではなく「引き算」によって「ニコット＆マム」のドーナツのように、アレルギーや食習慣の違いを超えて、皆が一緒に美味しく楽しめるスイーツを作りたいという想いが強くなり、それを実現したのが「エヴリワン」です。

「エヴリワン」はその名のとおり、すべての人々が「同じ食卓」で「同じもの」を楽しめる世界をイメージした名前ですが、「Free From」というサブネームをつけています。

人々が個々に合った食べ物を選ぶ際、アレルギー・食習慣・美容・健康など、様々なアプローチがありますが、「Free From」は特定の成分やアレルゲンを使用しないことで、より多くの人々に安心して楽しんでいただける食品を提供する考え方で、欧米やアジアなどの諸外国ではスーパーにコーナーが設けられるほどに普及しています。

日本ではグルテンフリーや添加物フリーなどのワードを耳にするようになりましたが、最近、認知度が高い「ノンアルコールビール」もアルコールフリーという観点で「Free From」であり、アルコールを取り入れたくない人にとっては優しい飲み物です。

「エヴリワン」の「Free From」をコンセプトにしたスイーツは、厳選された素材と独自のレシピで美味しさにも妥協せず、一口食べるごとに幸せな気持ちになれるよう、すべての人々が同じ食卓で同じものを楽しめる世界を目指せる特別なものでありたいと願っています。

「エヴリワン」のスイーツが、皆様の日常に少しでも幸せと喜びをもたらせるよう一層の努力を続けてまいります。